ラオスがSK建設と韓国を追及する足元で

 建設中だったラオス南部の大型ダムが決壊し、下流域へ甚大な水害をもたらした韓国・SK建設の過失が問われている。大規模災害の原因が利益に絡んだ人為的設計変更に由来する、SK建設の過失によって発生した事実が判明して再び非難が過熱しています。その一方で、現地被災者たちは満足な支援を受けられずに苦しんでいます。

世界の注目を集めたダム水害

 詳細は「SK建設が施工したダム決壊により追及される韓国とラオス」で記した通り、SK建設が韓国政府を後ろ盾として、ラオスのセーピアン・セーナムノイダムの設計施工に着手しましたが、低価格の請負による杜撰な工事を進めた結果。現地の平年雨量でダムが決壊し、大多数の被災者を出しました。

 予てより韓国ゼネコンは「アジアで建設施工した建物の崩壊で追い詰められる韓国ゼネコン」で挙げているように、東南アジアや中東での巨大公共インフラ開発を政府の国策方針の下で推し進めてきました。しかしながら、予算が捻出できない開発途上国の事情へ漬け込み、韓国ゼネコン各社は低予算で現地労働者を冷遇する開発を各地で続け、設計施工の依頼数は減少しつつあります。すでに韓国ゼネコンはシンガポールのマリーナベイサンズはじめ、各国を代表する高層建築物の幹事社として実績を残していますが、マレーシアのペトロナスツインタワーでは、韓国のサムスン物産が建てたタワーの垂直性に問題があると専ら不安視されています。奇しくも、国を代表するランドマークを立て続けに設計施工したが故、韓国ゼネコン各社は総じて信頼を失墜させているのです。

 その安全性をないがしろにしてきたと言わざるを得ない姿勢が、セーピアン・セーナムノイダムの崩壊事故であらわとなりました。降雨によって補助ダムの沈下が確認されながらも、効果的な対策を行わず丸2日間放置した末に沈下する場所は増え、地方当局やラオス政府へ避難命令を打診するのも時すでに遅く、ダム崩壊が始まって3日目に濁流が村々を襲うこととなりました。その後の記者会見でも、SK建設は設計で想定していた以上の豪雨による天災だったと説明しますが、ラオス政府からは意図的な人災だと反論される水かけ論に発展します。

韓国とラオスの被災対応

 韓国が旗を振って推進してきた海外インフラ開発でしたが、セーピアン・セーナムノイダムの一件によって韓国ゼネコンの闇が世界の注目を集めることになりました。SK建設が大災害を引き起こした責任として、韓国政府は急ぎ救援隊や資金をラオスへ送る一方、ラオス政府は外部の専門家を集めて原因追究を始めています。しかし、双方の動きには被災者となった現地住民を本当にいたわっているのか、疑問が浮かび上がる言動が目立ちます。

見栄えだけ取り繕う韓国

 事故発生から2日後、SK建設の社長が現地アッタプー県の知事と面会して被災支援を積極的に実施する約束を交わし、韓国政府も救援隊をすぐさま派遣するなどの迅速な対応を見せました。加えてSK建設は、深い追悼の意として10,000千USドルの救援資金、及び被災者向けの仮設キャンプ建設のため200人規模の救援人員を送るとしました。

 ですが、現地住民からは悲痛な叫びが上がっています。ダム決壊から3ヵ月が経過しましたが、依然として被災地では下痢に悩まされる人々、皮膚病に侵された家畜の処遇、流されて再建の目途が立たない公共施設など、向き合う課題が山積しています。生活再建の兆しが見えない被災者からは韓国からの支援が一切ないと不満が噴出し、嫌韓意識が次第に共有されつつあります。現地調査を行った機関からは、事故直後に被災者キャンプを建設したこと以外に何ら支援は行われておらず、韓国の政府機関すら現地入りしていないと報告を挙げて韓国世論をざわつかせました。

 実はこの話、ラオスと陸続きで国境を接しているカンボジア北部の惨状を伝えたニュースで、SK建設によるダム崩壊事故の影響が国際問題へ発展している現実を広く伝えることとなりました。ダムが崩落して間もなく救援策に動いた韓国でしたが、ラオス以外の周辺地域への影響を視野に入れていなかったのです。

人命を軽んじるラオス

 自国で大規模災害が発生し、韓国やSK建設を痛烈に批判しているラオスですが、低予算でダムの設計施工を依頼した懐事情だけでなく、被災地となった現地の正確な被害状況を開示していない複合的問題点は省みなければなりません。強引ともいえるダム建設推進策によって、ラオス国民を大きな負担を強いられてきたのです。

 東南アジアでも最貧国に部類されるラオスは国家財政を立て直すため、ダムの設計施工を海外ゼネコンに委託して建設を進めてきました。しかし一連のダム崩壊騒動は、ラオス政府が如何に隠ぺい体質を敷いているのか際立たせることになります。事故発生直後の会見でラオス政府は最初、ダム決壊による死亡者数が26人としながらも、すぐ11人と下降修正しています。さらに、隣国カンボジアにも被害が及んでいる大規模災害にも関わらず、わずか1ヵ月ほどで行方不明者捜索を打ち切るなど、おおよそ国民の人命を軽んじた行動を取りました。結局、死亡者数39人、行方不明者数97人という、被害規模の実情とは合わない数値をラオスは公式見解として発表しました。

 これには、ダム災害をキッカケに政権転覆運動を未然に防ぎたい。ラオス政府の黒い思惑が透けて見えており、国民の生命よりも支配体制の維持を優先させようと火消しに躍起になっている側面も窺えるのです。そのため、国外の専門家を招集して事故原因を追究させ、都合のよい事実だけを抽出して韓国側へ責任を丸投げしたいと、ラオス側が考えていても不思議ではありません。

利益目的の不正

 双方の国策に由来する未曾有の大災害は、時間が経過するにつれて両国の責任回避への動きが図らずとも示される様相を呈してします。同時に、当の被災者たちは国家間の責任論争が展開される状況から置いていかれて生活苦に喘いでいるのです。そんな折、韓国のハンギョレ新聞社が報じた一本の記事によって、SK建設の設計変更における過失が明確に示されました。

 ハンギョレ新聞社が韓国の国家議員から入手したSK建設の内部資料によると、現地合弁会社との間で取り決めた比率以上の利益を得る計画だけでなく、着工を意図的に遅らせて工期短縮して、インセンティブ収入を確保する算段などが記されていたのです。さらに利益幅を拡大するため、5ヶ所ある補助ダムの高さを意図的に設計変更して、試算額面で19,000千USドルもの資材費を抑えた事実も浮き彫りとなりました。露呈した問題はSK建設の過失に限るものだけではありません。ラオスのダム建設が本来、政府開発援助(ODA)によって事業が進められていたにも関わらず、義務化されている国会審議を通さずに予算が組まれていた不審な経緯も明るみとなりました。

 無論、SK建設への非難が再燃することは火を見るよりも明らかでした。他方、設計変更という分かりやすい事故原因が明示され、責任を韓国側へ投げ捨てたいラオス政府にとっては好都合な理由を得たわけです。ラオス政府が今後、調査団の報告結果を合わせてSK建設へ賠償責任の追及を強めるのは言うまでもないでしょう。

韓国とラオスが果たすべき責任

 一大国家プロジェクトとして動き出したダム建設が、利益を念頭に置いた設計変更によって全て中止に追い込まれたラオスとっては、SK建設や韓国の悪質な働きによって損ねた利益を保証する設計責任があると捉えています。対する韓国はSK建設の内部資料が開示され、資金的、人為的な責任を負わなければならないのは明々白々となりました。ただ、体制を維持したいがため国民の命を軽んじるラオス政府が、SK建設や韓国を責任追及する権利が本当にあるのでしょうか。

 被害はラオスだけでなく、隣国カンボジアにも広がっています。当事国間だけで片付かなくなった国際問題に発展している以上。韓国やSK建設だけでなく、ラオス政府も何らかの道義的責任を負わねばなりません。