コラ画像でレーダー照射問題を避ける韓国軍

 日韓の当事者間で騒ぎになっている火器管制レーダー照射問題で、韓国側が公開している写真や映像がコラージュされたものばかりだとネット上で槍玉に挙げられています。SNS上ではコラ画像の証拠として詳しく解説されている投稿も散見しており、日本国内では火器管制レーダー照射問題をうやむやにしていると批判が相次いでいます。

日本の証拠提示に訴え返す韓国国防省

 日本の自衛隊哨戒機が2018年12月に能登半島沖にて韓国軍艦船の行動目的を確認するため接近したところ、韓国軍艦船が哨戒機に向けて砲撃準備とも取れる火器管制レーダーを照射して外交問題に発展しました。その後、日本の防衛省が哨戒機より撮影した証拠映像を公開すると、韓国国防省も年明けすぐに持論を展開する意見映像をYouTubeに投稿。以来、互いが譲らない非難の応酬を続けています。

 双方解決に向けた努力も見られましたが、秘密裏とされている情報を交換する日本の提案に韓国側が反発したため、防衛省はレーダー照射の音声を公開して交渉の打ち切りを表明しました。すると、韓国国防省は2019年1月23日に東シナ海上で自衛隊哨戒機P-3Cが韓国軍艦船に高度60~70mまで接近したと発表し、証拠とする5枚の写真を公開して日本側へ謝罪を要求してきたのです。同日スイス・ダボスにて開催された日韓外相会談の場でも、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が「日本の威嚇飛行が続き遺憾に思う」との発言に、日本の河野太郎外相も「韓国側の発表は遺憾で適切な対応を求める」と反論する泥仕合を展開しました。

 しかし、これまで韓国側が提示してきた証拠とする映像や画像には不可解な点が散見され、ネット上では明らかなコラ処理がされていると指摘する意見が数多く見られます。軍事専門家も韓国側の対応には不可解な点があると指摘しており、韓国国防省が自身の過失である火器管制レーダー照射から話題を逸らすご飯論法を展開しているとの見立てが大勢を占めています。

意見映像のコラ扉絵と出回るフェイク画像

正規映像でのコラ画像

 そもそも年初めに韓国側が公開した証拠とされる映像は持論を展開する意見動画に過ぎず、韓国軍艦船が火器管制レーダーを照射しなかった証明になっていません。「火器管制レーダーを哨戒機に照射した韓国軍の言い訳」で詳しく説明している通り、公開映像のうち韓国軍が撮影した動画は11秒しか流れていないだけでなく小型漁船の救護任務だったにも関わらず、なぜ駆逐艦が護衛に参加していたのかの説明すらされていません。映画宣伝の様な映像の過剰演出に加えて8ヵ国語に訳した映像を公開する姿勢からも、韓国国防省が誠実にレーダー照射問題に向き合っていなとする見方が日本で定着しました。

 Twitter上でも動画の扉絵画像が明らかな合成コラ画像だとすぐに証明され、ネット界隈ではコラ画像を駆使した煽りだとして韓国側の訴えを信用しない風潮が一気に広がっていきました。

広まる偽コラ画像

 さらに韓国側の映像公開に先立って偽コラ画像が韓国側の証拠として出回る事態も発生しています。政治発言をしていたTwitterアカウント・戦犯旗追放運動(@wcfbm)が投降した明らかな偽コラ画像付きツイートが6,000以上リツイートされ、一時は韓国国防省が公開した本物の証拠画像だとネット上がざわつく騒ぎとなりました。現在は閉鎖されている戦犯旗追放運動(@wcfbm)のアカウントですが、偽コラ画像ツイートに煽られたアカウントが自作の本物に見える偽コラ画像を作り出すムーブメントも生まれており、当該偽コラ画像が出回った際はフェイクニュースの類として問題視されました。

 現在はTwitter上で「#韓国海軍レーダー照射クソコラグランプリ」の創作ジョークコラ画像の投稿タグが広がり、フェイクニュースとして偽コラ画像が拡散される懸念は格段に低下しています。しかし、社会的な世論形成を担った偽コラ画像の存在は大いに問題視された情報操作だと認識しても差し支えないでしょう。

NHKと共同通信の合成写真

 報道機関が制作した画像も槍玉に挙げられています。記事の扉絵としてNHKと共同通信がサイトで張り付けた合成画像が、上にP-1哨戒機・下に韓国軍艦船を配置した画像だったことに違和感を抱く声が広がりNHKは扉絵を修正しています。ただ直接的なコラ画像とは言えない扉絵のため、共同通信のサイトでは批判された合成画像は修正されることなく掲載され続けています。

不自然な5枚の証拠写真

 年末年始に勃発したレーダー照射に関わる日韓関係の悪化は日本側の協議中断で一旦は静まりましたが、韓国国防省が東シナ海沖での哨戒機接近問題が浮上すると再び過熱化します。そして、韓国軍艦船からの記録として写真5枚が公開されましたが、修正痕や水面を映した写真が証拠として示されないなどの違和感はネット上でも即座に指摘され、専門家らも証拠とならないと一蹴しています。

哨戒機を直に撮影した画像

 明らかなコラ画像として注目を集めたのが韓国軍艦船から直に哨戒機を撮影したとする画像です。見た目は違和感なく鉄棒の右側に哨戒機が飛行している写真に見えますが、画像処理で張り付けたオブジェクトを白点の集合体で映し出すELA分析にかけると下の投稿の通り一目瞭然。哨戒機のシルエットをなぞって白点が集中していることがご理解いただけるでしょう。簡単な解析だけでコラ画像だと分かる写真を証拠とした韓国国防省の姿勢にネット上では呆れた反応が広まりました。

哨戒機を暗視で撮影した画像

暗視撮影された哨戒機の写真
※韓国国防省より

 計2枚開示されている暗視撮影した哨戒機の画像についても異論が噴出しています。韓国国防省の発表によれば哨戒機が威嚇飛行したのは14時ごろですが、本来は夜間でしか撮影されない赤外線暗視写真を証拠とした点は公開後すぐに不自然だと専門家界隈で騒がれていました。加えて、次項で挙げている対空レーダー計器と連動するはずの数値に誤差が確認されており、実際に韓国軍艦船の機器を運用して当日に撮影された写真なのか疑問符が飛び交っています。

レーダー計器の数値誤差

上図:位置を示す数値
緯度経度の数値が会見での発表と異なる
下図:哨戒機の高度を示す距離
フィートを示す数値に「0」が入る空白がある
※韓国国防省より

 「機械は嘘をつかない」として証拠写真に挙げられている対空レーダー計器の数値画面にも違和感が指摘され、前項で挙げた赤外線暗視写真と連動しない数値を示している齟齬以外にも気になる点が挙げられています。まず韓国軍が哨戒機に異常接近されたとする場所は北緯32度・東経125度ですが、レーダー計器が表示しているのは北緯32度・東経123度。記者会見で発表されている場所からは離れています。そして、左下図で哨戒機までの距離が高度200フィート(約60m)と表記されていますが通常0が入る部分が空白となっており、実際の距離は高度2000フィート(約600m)だったのではと疑われているのです。

意地を通したい韓国国防省

 東シナ海上で自衛隊哨戒機が韓国軍艦船に異常接近したとする証拠には修正コラ画像や数値の矛盾が見受けられ、韓国国防省は国際信用を落とす事態に陥っています。ですが、韓国国防省は火器管制レーダー照射問題を深刻化させたくない狙いからか、外交問題解決に向けた情報開示に積極的ではありません。こうした強気の姿勢に他の韓国省庁も頭を抱えており、特に外務省は国防省の挑発行動に日々怒りを募らせています。

 しかし、なぜ韓国国防省は偽コラ画像を制作してまで自らの立場を主張し続けるのか。火器管制レーダー照射問題を風化させたい狙いもあるでしょうが、最もな理由を挙げるとすれば南北融和に向けた軽日姿勢を推し進めたい文政権の思惑からでしょう。「親中軽日化を進める韓国政府」で取り上げている通り、韓国は北朝鮮との統合を念頭とした親中政策に舵を取りつつあります。故に、軍事専門家の間では韓国と北朝鮮との間に民間船救助の密約が交わされているとの見方もあり、仮に事実だとすれば韓国国防省が是が非でもレーダー照射問題の真相を覆い隠したい考えにも合点がいきます。ただ、偽コラ画像を用いた韓国側の持論展開は軍だけでなく政府の国際信用も落としており、日韓関係改善のためにも得策とは言えない選択を韓国国防省は続けていると言わざるを得ません。